【後編】地域活性化活動を続ける秘訣とは?都会育ちの女性が東京都の端・五日市に古民家茶寮をOPENした理由--東京都五日市ごえん分校

前編では生まれも育ちも東京だった成木さんが東京の端っこ、五日市で「地域活性化」の活動をはじめるまでの原点を伺いました。今回は「移住や地域活性化の活動に興味はあるけど、どのように地域に関わっていけばいいかわからない」と悩んでいる方のためになるようなお話を伺いしました。


聞き手:Readyforチーフキュレーター 夏川優梨

暖かみのあるお金の流れをもっと多くに方に届けたいとReadyforにジョイン。

現在は、クラウドファンディング事業部のマネージャーとして、最強のキュレーターチームを育成、街づくりや古民家再生に関わるプロジェクトを多数担当している。

お話 :ごえん分校 成木恵理子、金久保誠

東京23区生まれ。2014年に東京都の端・五日市を盛り上げるための「ごえん分校」を立ち上げる。


100のアイデアを否定されても提案し続けることで得た地域の方の信頼

夏川:私も田舎で育っているので、田舎って地域独特の「内輪感」ってあるんじゃないかと思います。地域の人は、外からの人が入ってくることや地域を変えていくことに抵抗があったと思うのですが、その垣根はどうやって取り払っていったんですか?

成木:地元のおじさんたちは厳しいことは言いますけど、「五日市を盛り上げよう!」っていう気持ちはあって、外から来た私たちを受け入れてくれる人たちなんですよ。最初はどんなアイデアを持っていっても否定されて大変だったけどめげませんでしたね(笑)。

恐らく100くらいのアイディアを出していく中で、「よそから来た人なのに、私たちの地域のことに対してこれだけ熱心に提案してくれる」って思ってくれていたのではないかと思います。否定しても否定しても次々にアイデアを出してくる。この過程で少しずつ気持ちが変わっていったのかなと思うんです。

勉強会っていうのももちろん、地元の人にも協力してもらったところはあるんですけど、基本的には私たちが主体で動いていましたし。地域の方たちにしてみれば、自分たちが地元でできないことをよその人たちがやってくれていると思ってくれていたのではないかと思います。私たちは、地域の人たちが私たちを受け入れてくれてるということに感謝していたし、地域の方たちはよそから来た人たちが自分の地域のためにこれだけやってくれているって思っていた。相互に期待や信頼が生まれていったんだと思います。

最初は「この地域には学生や若い人がいない」とおじちゃん達が言っていたのですが、今では若い人や学生さんもどんどん参加してくれるようになりました。

夏川:若い人からおじちゃんたちにまでどのようなアプローチをしていったんですか?

まずは、おじちゃんたちの娘さんや息子さんにアプローチしていきましたね。フェスや勉強会など若い子たちも好きそうなコンテンツを用意して、若い子たちにもきてもらうように呼びかけて。「今まで地元にはなかったこんなことが体験できるんだ!」などちょっとした楽しみを作って巻き込んでいきました。


「地域に入り込みたければ神輿を担げ!」

夏川:他の地域でも、みんなもっと「地域の人たちと関わりを持ちたい」という想いってどこかにあると思うんです。どのようなアクションを起こしたらいいと思いますか?

成木:一番いいのはごえん分校に来てもらうことです(笑)。ごえん分校では地域活性化のロールモデルとなるような地域について勉強する勉強会が行われていますから。

地域の中に入りたい場合、一番入りやすいのはお祭りに出ることですね。私は様々なお祭りでお神輿をかついでるんですけど、お神輿を担げるっていうのはある程度地域で信頼をされていたり、誰かに紹介してもらったりしないとできないことなんですよね。例えば、神輿を担いでいるのを町内会長に見てもらったりしていて「この間、お神輿を担いでくれていたよね」っていうところから会話が弾み、気がついたらそのコミュニティに深く関わっていたというようなことがあります。

お祭りを定期的に、または頻繁に行っている地域というのはコミュニティがしっかりしています。よそものを受け入れてくれるかどうかはその地域のパーソナルティや特性によるところもありますが、既存のコミュニティに関わる機会があるのはお祭りくらいだと思うのでそこできちんと挨拶して顔見知りになっておくことが重要です。


あえて少し緊張するくらいの「地域に近い」場所に飛び込んでみる

成木:あとは、なんとなく楽しくやっているような「居心地の良い場所」にばかり関わっていると地域に馴染めない可能性があるので注意が必要です

同じ移住者同士ばかりで集まっているとやっぱり楽しいんです。東京や他の地域から来たもの同士で「こういうところが大変で…」など愚痴を言いあうようなコミュニティ。世代も同じくらいで楽しいとは思うし、そういうコミュニティも大事だと思います。でも、そこにずっと居ても結局「地元の人」とは馴染めない。そこに入り浸っていては、その地域のことをある程度は知ることができると思うけど「私が関わりたい、この地域のためにこういうことをやりたい」って思ったときにうまくいかない気がします。地元のバーとかお酒を飲む場所で地元のママとかおばちゃんと仲良くなって、しっかり自分も「中の人」になったほうが「なにかしたい」と思ったときもきっと楽しくやれることが多いんじゃないかと思います。

ごえん分校のケースで言うと、外からきた私たちみたいなメンバーは「こういう風にした方がいい」っていうアドバイスをしているだけで、メインでどんどん動いてるのは地元だから、五日市に来てごえん分校に来てくれれば、直接地元の人と話す機会も多くなるし、仲良くなれるんじゃないかなと思っています。

ごえん分校の基本的なスタンスは、「来るもの拒まず、去る者追わず」なんです。たまに来てもらうだけでも「ああ、久しぶりだね」っていう雰囲気で話もできますし、顔を出さなかったからと言って「このコミュニティが嫌なのかな」と思うこともありませんので、気軽に立ち寄ってほしいですね。